- なんでも相談
生命保険受け取りと財産分与に関して
55歳主婦です。
といっても2年同居後、53歳で入籍しましたので新婚2年目となります。
主人は58歳。義母85歳。
有限会社形式にしている自営業で、主人と義母が経営に携わっています。
私は全く関与していません。
主人以外では義母には給料があります。
主人の父は、50代、姉は40代で亡くなっています。
他に遺産に関係するだろうと思われる家族としては姉の息子(30歳)と夫がいます(義兄は再婚していない)
・・ということで義母にとっての孫は、30歳の甥っ子だけになります。
先日、保険の見直しということで「ゆうちょ」より外交の方がいらして、主人が生命保険(だとおもう)らしきものに入っていることを知りました。
受取人は義母です。
受取人はそのままで継続していました。
私が受取人の保険は現在ありません。
資産(土地・家等)は主人名義と義母名義に分けているのかということも知りません。
もしかしたら義母名義だけかもしれません。
義母が亡くなれば主人が相続するのか甥っ子も相続するのかはわかりません。
主人の祖父も父も57歳で亡くなっていて主人も持病があります。
長生きしてほしいのが一番ですが、もしも主人に何かあったとき、私には保険の受け取り分もありません。
その場合、資産も義母名義なら私には主人の遺産としては何も残らないのでしょうか?
主人と義母で築いてきた預貯金や先祖からの資産に私が関わるのは、嫁いで間もない私には権利がないようで何も言い出していませんが、受取人が義母で私ではない・・ということで主人との仲は良くても、結局は義母のことしか守っていない感じがして傷つきました。
受取人が私名義の保険にはいってほしい・・とか、受取人を変更してほしいとか主人に申し出てもいいのでしょうか?
私にも資産や財産・保険等、受け取る資格はあるのでしょうか?
相続人が誰になるかということと、保険金の受取人について考えてみましょう。
ご相談ありがとうございます。
新婚とはいいましても、名実ともに妻ですから、それだけに相続や保険金などについて色々とご不安があるのは当然のことと存じます。
ご相談の内容から分かる限りのことをここでお答えいたします。
ご相談の内容は大きく分けて「相続のこと」と「保険金の受取りのこと」になろうかと思います。
この2つについて考えてみましょう。
相続について
あなたのご質問内容から、相続関係を簡単にまとめてみました。
下の図のようになります。
資産が義母名義の場合
資産が義母名義のものであれば、義母が亡くなる前に夫が亡くなった場合、夫の相続においてその資産をあなたが相続することはありません。
義母の資産は、義姉の子、義兄の2人に相続されます。
義母が夫より先に亡くなった場合、義母の資産は、夫、義姉の子、義兄の3人に相続されます。
続いて、その後に夫が亡くなった場合です。
お子様がいらっしゃらないようですから、夫の相続人は、あなた、義姉の子、義兄の3人となります。
法律上の相続の割合は、あなたに8分の6、義姉の子、義兄にそれぞれ8分の1ずつとなります。
夫が、「あなたに全財産を相続させる。」という遺言書を残していれば別ですが、そうでなければ、全財産をあなたが相続するわけではありません。
遺言書を残すのに早すぎるということは全くありません。
万が一に備えて、ご主人の資産をあなたに相続させるという遺言書を書いておいてもらえば、あなたも安心でしょう。
相続トラブル対策にもなります。
資産が夫名義の場合
夫が亡くなった時、義母がご存命でしたら、夫の相続人は、あなた、義母の2人となります。
法律上の相続の割合は、あなたに3分の2、義母に3分の1となります。
夫が亡くなった時に、義母が既にお亡くなりになっていれば、夫の相続人は、あなた、義姉の子、義兄の3人となります。
やはり、夫が、「あなたに全財産を相続させる。」という遺言書を残していれば別ですが、そうでなければ、法律上の相続の割合は、あなたに8分の6、義姉の子、義兄にそれぞれ8分の1ずつとなります。
全財産をあなたが相続するわけではありません。
保険金の受取りについて
保険金の受取人であれば、いつでも変更できます。
当然、大切なことですから、夫に相談することは良いことだと思います。
もし、受取人が義母となっているようでしたら、受取人を変更しておかなければ、当然、保険金は親が受け取ることになります。
その後に、もしあなたが親からそのお金を譲り受けようとすると、贈与になります。
死亡保険金は金額が大きいですから、大変な金額の贈与税を支払わなければならなくなります。
また契約者と受取人の関係によって、保険金の支払時に相続税が課税されるか、贈与税が課税されるかが変わります。
贈与税は相続税よりも割高です。
そういうことをご夫婦の話題にして、保険金の受取人が誰になっているか、変更してはどうかということをお話し合いされてはいかがでしょうか。
その点について詳しくは、保険屋さんにご相談されると良いでしょう。
保険のことは、何事もないと忘れがちですから、きっと、あなたの事を大切に思っているご主人様も、保険のことなどお忘れになっているのだと思います。
ゆうちょの方からお話のあったこの機会に、ご主人とお話してください。
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早々の対応ありがとうございました。
感謝いたしております。
資産名義に関して調べる方法はあるのでしょうか?
主人に尋ねるしかないのでしょうか?
資産(土地や建物)の名義は、登記事項証明書を取得すれば確認できます。
資産(土地や建物)の名義は、法務局で登記事項証明書を取得すれば確認できます。
登記事項証明書は、誰でも取得できます。
取得方法は簡単です。
ご自宅のお近くにある法務局または法務支局に行き、登記事項証明書発行の申請用紙に必要事項を記載して、窓口で申請すれば良いのです。
申請用紙には、権利の状況を知りたい土地、建物それぞれについて、地番等を書けば良いだけです。
申請に必要なものは、「手数料(1つの不動産につき600円)」のみです。
登記事項証明書には、所有者が誰であるのか、抵当権が付いているかなどの権利の状況が記されています。
それを見れば、土地や建物の所有権が誰にあるのか、確認をすることができます。
見方が分からなければ、法務局の窓口の方に聞けば、丁寧に教えてくれると思います。
どこにどれだけ不動産を所有しているかも分からない場合
市の税務課などで固定資産課税台帳を確認すると、個人がどこにどれだけの不動産等を所有しているかを知ることができます。
固定資産課税台帳というのは、一般的には「名寄帳」と呼ばれているもので、個人が所有している複数の固定資産(不動産等)が一覧表になっています。
個人が所有する固定資産がすべて把握できます。
ただし、市町村ごとの台帳ですから、複数の市町村に土地や建物を所有している場合は、その市町村の台帳にしか記載されていません。
また、法人(会社等)の名義で所有している不動産等は記載されていませんから、ご主人や義母が経営されている会社名義となっていれば、把握することはできません。
この固定資産課税台帳は、原則として本人しか取得することはできませんが、同居の親族であれば取得することができる場合もあります。
ご主人や義母が、どこにどれだけの不動産を所有しているか分からないという場合には、市町村の税務課に相談してみるのも方法のひとつと思います。
早々の対応ありがとうございました。
このような相談ができ、対応が早いのは心強いです。
質問が戻りますが、
>夫が、「あなたに全財産を相続させる。」という遺言書・・・のことですが
遺言書は専門家にお願いするべきですか?素人でも押さえておかなければいけないポイントは
あるのでしょうか?
資産は主人と義母の共有名義(?)または、それぞれにあるということ?だとわかりました。
また、義兄(主人の姉の夫)には相続は無く、あるとすれば甥っ子のみ・・と
言うのですが、主人の勘違いなのか?それとも過去に何かしらの問題があって相続放棄をさせているとか・・の手続きがなされているのか・・
義兄には相続させないの意志を感じたのですがそういうこともあるのでしょうか?
もやもやしていたものがこちらに相談できて知識を得て、主人と話すことができ
スッキリしたことは確かです。
対応が早いことに心より感謝しております。
遺言書は専門家に依頼することをお勧めします
>遺言書は専門家にお願いするべきですか?素人でも押さえておかなければいけないポイントはあるのでしょうか?
遺言書には、いくつかの種類があるのですが、一般的なものとしては「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。
それぞれ一長一短あります。
こちらの記事を参考になさってください。
⇒遺言書の種類と特徴(公正証書遺言と自筆証書遺言)
島根さんの場合、ご夫婦それぞれに遺言書を残した方が良いと考えます。
特に、あなたの場合、ご主人には遺言書を残してもらった方が良いのではないかと思います。
その場合、公正証書遺言にしたほうが良いと思いますが、まずは自筆証書遺言を残してみてはいかがでしょうか。
自筆証書遺言は、手軽に自分で書けるということが最大のメリットですが、唯一のメリットとも言えます。
法的な知識に乏しい方が書いた場合、遺言書が法律で求められた要件を満たさず、無効になってしまったり、「本当に本人が本人の意思で書いたのか。」という疑いを持たれてしまい、トラブルのもととなることがあるのが、自筆証書遺言のデメリットです。
また、遺言書を残す人の「生まれてから現在までの戸籍」を収集し、相続人が誰であるのかを確認して書かないと、それもトラブルを招くことがあります。
ですから、専門家に相談しながら作成することをお勧めいたします。
参考までに、自筆証書遺言、公正証書遺言の作り方を記事にしていますので、ご覧になってください。
⇒自筆証書遺言の作り方
⇒公正証書遺言の作り方
ご依頼いただければ私の方で自筆証書遺言の文案を添削したり、文案を作成したりすることもできます。
もやもやが晴れてスッキリされたとのことで、少しでもお役に立てて私も嬉しく思います。
ご夫婦それぞれに遺言書を残すことについて、ご主人と相談してみてください。
「義兄」の相続権について
>義兄(主人の姉の夫)には相続は無く、あるとすれば甥っ子のみ・・と言うのですが、主人の勘違いなのか?それとも過去に何かしらの問題があって相続放棄をさせているとか・・の手続きがなされているのか・・義兄には相続させないの意志を感じたのですがそういうこともあるのでしょうか?
この点について、前提条件が私の方で把握できておりませんでしたので、いくつか修正を加えてお答えいたします。
「義兄」について、私は「あなたからみて義兄、つまり、ご主人からみれば実兄」と思っておりましたので、相続関係の図のように記しました。
その場合は、お答えしたとおり、義母が亡くなった場合にも、ご主人が亡くなった場合にも、「義兄」には相続権があります。
しかし、「義兄」と表現されていた方は、「ご主人の姉の夫」とのことですので、そうすると話しは違います。
義母が亡くなった場合にも、ご主人が亡くなった場合にも、「ご主人の姉の夫」には相続権はありません。
ですから、島根さんのご相談に登場する「義兄」には、相続権はありません。
ご主人のおっしゃるとおりです。
相続開始前の相続放棄はできません。(参考)
なお、参考までに、仮に「義兄」の意味が前者(あなたからみて義兄、つまり、ご主人からみれば実兄)であった場合には相続権があると申しました。
この場合、法律上、相続権のある方が、相続が開始する前(つまり義母やご主人が亡くなる前)に相続放棄をすることはできません。
参考までに知っておいてください。
何度もありがとうございました。
公正証明遺言書のことを主人に話せるような時期がきたら
よろしくお願いします。
今後ともよろしくお願いします。