- コラム
遺言書は公正証書にした方が安心です!
遺言書を公正証書にするメリットはとても大きい!
遺言書には大きく分けて「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。
(本当はもっと種類がありますが、実際にはこの2種類を知っておけば十分です。)
「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」それぞれの作成方法については、次の記事を参考になさってください。
参考記事⇒「自筆証書遺言の作り方」
参考記事⇒「公正証書遺言の作り方」
どちらが良いかは一概には言えません。
それぞれに利点があるからです。
自筆証書遺言の最大の利点は、何といっても「手軽さ」です。
自分で文章を書くことさえできれば自分1人で作成できます。
特別な費用もかかりません。
公正証書の場合、公証人に作成してもらわなければいけませんし、遺言書を作成する際に証人2人以上の立会いが必要です。
それに費用も多少かかりますから、「手軽さ」という点では自筆証書遺言にはかないません。
公正証書遺言には多少の費用がかかり、色々な手続きが必要になるので、ちょっと面倒であることは否定できません。
しかし、遺言書を残すのであれば、自筆証書遺言よりも公正証書遺言をオススメいたします。
なぜなら、自筆証書遺言は「手軽さ」というメリットの反面、大きなデメリットもあるからです。
言い換えますと、「手軽さ」が自筆証書遺言の最大のメリットであり、唯一のメリットといえます。
そうした自筆証書遺言のデメリットを全てカバーしているのが公正証書遺言なのです。
これから、公正証書遺言のメリットを記します。
これをご覧いただければ、作成時に多少の費用や時間をかけても、長い目で見れば公正証書で残した方が良いと感じて頂けると思います。
法律的に間違いのない遺言書が作成できる
自筆証書遺言は「手軽さ」がウリではありますが、法律によって作り方が厳格に定められています。
文言を間違えたりした時の修正方法も定められており、この定めに従って修正しなければいけません。
この作り方や修正方法を間違えてしまうと、法律的に遺言書として認められません。
こうした法律について知識がないまま自筆証書遺言を作成した場合、遺言書として認められないものが出来上がってしまう可能性があります。
公正証書遺言の場合には、法律のプロである公証人が作成するので、そのようなことはありません。
遺言を残す人の意思を正確に反映し、内容的に問題のない遺言書を作成できる
作成の過程で、私どものような法律職が支援することで、内容的に漏れなどがない遺言書を残すことができます。
そして、最終的に公証人が遺言を残す人の意思を確認しますので、財産の特定や分配方法といった遺言書の内容について、後になって解釈上の疑義が残らない遺言書を作成することができます。
遺族の間で遺言書の内容の解釈をめぐってトラブルになる可能性が極めて低いということです。
自筆証書遺言の場合には、遺言としては形式的には有効であっても、その内容がいかようにも解釈できたり、不明確であったり、物件や預貯金といった財産の特定が不十分であったり、遺言の実現が著しく困難であるなど不適切な内容になることがありますが、公正証書遺言の場合はそのようなことはありません。
書けなくても口などで伝えることができれば作成できる
自筆証書遺言は、文字どおり自分で書く遺言書です。
全てを自分で書く必要があるのです。
ですから、いざ遺言書を作成しようと思ったときに、高齢や病気などのために全文を自書することができなければ、自筆証書遺言を残すことはできないのです。
公正証書遺言は公証人が作成しますから、遺言書を残す人が自分で文字を書けなくても、遺言書の内容を口で伝えることができれば作成することができます。
公正証書遺言でも、自分の名前は自分で署名してもらう必要がありますが、病気などでそれも難しい場合には、公証人が代署してくれます。
つまり、公正証書遺言なら、1文字も書くことができなくても、遺言書を残すことができるのです。
検認手続きが必要ない
自筆証書遺言は、すぐに開封してはいけません。
家庭裁判所で「検認」という手続きを受けなければ、自筆証書遺言を開封することさえもできないのです。
参考記事⇒「自筆証書遺言は、そのままでは使えません!~遺言書の検認~」
この検認手続きは、実は相当面倒です。
遺言書を残した人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本などを集め、それを元にして相続人全員の戸籍謄本、戸籍の附票などを集めなければならないなど、準備にそれなりの時間や費用がかかります。
そして、家庭裁判所に申請をして手続きを行いますが、手続き完了までに準備期間も入れれば2ヶ月程度はかかると思っていた方が良いでしょう。
公正証書遺言の場合、この検認手続きを経る必要がありません。
速やかに遺言書の内容を実現できます。
残された家族に負担をかけずに済むということですね。
紛争になることが少ない
自筆証書遺言の場合、遺言書を残した人が亡くなると、「本当に本人が遺言書を書いたのか。」とか「本人が書かされたのではないか。」とか「そもそも認知症で遺言書を書けるような状況ではなかった。」など、効力について争われることが少なくありません。
遺言書の内容に不満を持つ相続人はどうしても遺言書の作成過程に疑問を持ち、納得しないことがあるようです。
裁判になって遺言書の効力が争われれば、相当の時間と労力と精神的負担と費用がかかることになるでしょう。
しかし、公正証書遺言の場合は、その効力が争われることはほとんどありません。
遺言書が発見されなかったり、紛失したり、破られたり、偽造されるおそれがない
自筆証書遺言の場合、保管場所をむやみに他人に教えてしまうと、遺言書の内容を書き換えられたりしてしまうおそれが否定できません。
かといって、保管場所を誰にも見つけられないような場所にしてしまえば、誤って捨てられてしまったり、遺言書の残した人が亡くなっても、その遺言書を誰にも見つけてもらえないという可能性があります。
公正証書遺言の場合、遺言書の原本が公証役場に保管されますから、紛失したり、破られたり、偽造されたりするおそれがありません。
また、「遺言検索システム」がありますので、相続人等であれば公証役場で遺言書の存在を調査できます。
公正証書遺言の謄本を身近な人に預けておけば、せっかく残した遺言書が、誰にも見つけられないままどこかに行ってしまうという可能性は低いといえるでしょう。
参考記事⇒「遺言書の保管方法」
参考記事⇒「公正証書遺言の検索システム」
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