- コラム
動画や音声の遺言は有効?無効?
法的に確実な遺言を残すには、行政書士等の専門家を頼りましょう
遺言書は、法律で決められた方法で作成されなければ、法的には無効とされてしまいます。
公証人が作成する「公正証書遺言」であれば、公証人が関与して作成します。
自分で作成する「自筆証書遺言」であれば、次の4つの方式を守らなければいけません。
- 遺言書を残す人が、遺言の全文を自分で書く。
- 遺言書を残す人が、日付を自分で書く。
- 遺言書を残す人が、氏名を自分で書く。
- 遺言書を残す人が、遺言書に押印する。
遺言書は、遺言書を残した人が死亡した時から効力が生じます。
逆に言えば、遺言書が効力を生じる時には、既に遺言書を残した人は亡くなっているわけです。
そのため、遺言書を残した人が自分の意思で遺言書を残したということを、遺言書を残した人が亡くなった後に証明するために、法律で遺言書の作成方法が厳格に決められているのです。
動画や音声の遺言は「法的に無効」
このように、遺言書の作成方法は、法律によって厳格に決められています。
動画や音声で「私の財産の全てを長男の一郎に相続させる。」というメッセージを、自分自身で撮影・録音した場合、それは法律的に有効でしょうか。無効でしょうか。
答えは「無効」です。
上記の「自筆証書遺言」で守るべき4つの方式を確認してみましょう。
まず、動画は撮影されたものです。
音声は録音されたものです。
「書かれた」ものではありません。
遺言書の全文、日付、氏名を自分自身で「書く」ことが守らなければいけないルールと決められているのに、そのルールが守られていません。
ですから、動画や音声の遺言は、「法的に無効」なのです。
動画や音声以外に「法的に無効」な遺言とされてしまう具体例
- 携帯電話のメールに残された遺言
- パソコンで作成し印刷した遺言
- 他人に代筆してもらった遺言
いずれも、法律で決められている「自分で」「書く」という要件を満たしていませんから「法的に無効」とされてしまうのです。
「法的に無効」な遺言が残されていた場合、どうしたら良いか
残念ながら、「法的に無効」とされてしまった遺言は、どのようなことをしても有効にはなりません。
有効な「遺言書」がない以上、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行って、全員が合意する結論を出す必要があります。
その際に、「法的に無効」な遺言とはいっても、それを「参考」にして話し合いを進めることは全くもって構いません。
「動画でお父さんが言っていることだから、そのようにしましょう。」とまとめるも良し、「動画は無効だから関係ない。」として全く考慮しないも良し、ということです。
有効な遺言書を残すためには、行政書士等の専門家を活用する
上記のほかにも、遺言書には法律で決められた厳格なルールがあります。
間違えた箇所の訂正方法も、通常の書類の訂正方法とは違い複雑です。
一般的には些細と思われることで、大切な遺言書が無効となってしまうのです。
自己流で遺言書を残すことは、大変な危険を伴います。
有効な遺言書を残すためには、行政書士等の専門家を活用する方が賢明です。
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