- なんでも相談
亡くなった人の相続人がいないと、相続はどうなりますか?
私の近所に住んでいた70代後半くらいの知人の相続の話です。
この知人は身内の人がいない方でしたので、普段から時折お話ししたり、お茶を飲んだりといった交流をしていました。
2年ほど前に、自宅を売り払って有料老人ホームに入居したのですが、その後も交流をもっていました。
ところが、お元気だったのに入居してから2年ほど経った最近、亡くなってしまいました。
その後、老人ホームの方とお話ししたところ、老人ホームの方などが必死になって相続人を探しているものの、相続人がいないので、数百万円ほどある預貯金などをどうしたら良いか困っているという話を聞きました。
まったく他人事の相続の話しで、興味半分というわけではありませんが、気になっています。
このような場合、相続はどうなるのでしょうか。
亡くなった人の相続人がいないときは、相続人不存在の制度によって手続きが進められます。
相続に関するご質問ありがとうございます。
仲良くされていた知人のことですから、お気になさるのも当然ですね。
亡くなった人に相続人がいない場合、「相続人不存在」の制度によって手続きが進められることとなります。
相続人不存在とは。
ある人が亡くなって相続が開始されても、相続人がいるのかいないのか分からないということがあります。
このようなときは、亡くなった人の遺産を管理したり清算したりする必要があります。
それと同時に、亡くなった人の相続人がいるのかいないのかも、捜索しなければいけません。
また、戸籍上では相続人が見つからなかった場合でも、相続人たる身分を持つかも知れない者がいることもあります。
法律は、このように亡くなった人に相続人がいなかった場合の手続きを定めていますが、これを「相続人不存在の制度」といいます。
相続人がいない場合、亡くなった人の財産は誰のもの?
人が亡くなるまでは、その人の財産は、当然その人のものです。
そして、相続人がいれば、亡くなった方の財産は、その人が亡くなった瞬間に相続人のものになります。
それでは、相続人がいるかいないか分からない場合、亡くなった人の財産は誰のものになるのでしょうか。
民法では、そのことにも規定があります。
難しいので詳しい説明は省きますが、その財産そのものが「相続財産」という法人になるのです。
亡くなった人の相続財産の手続きの流れ。
亡くなった方に相続人がいるかいないか分からない場合は、利害関係人等が家庭裁判所に請求して、「相続財産管理人」を選任してもらいます。
ここも少し難しい説明になりますが、この相続財産管理人が、亡くなった人の財産が法人となった「相続財産法人」を代理して、相続の手続きを進めていくのです。
要は、「相続財産管理人という家庭裁判所から選ばれた人が相続手続きを進める。」とだけ理解していただければ結構です。
相続財産管理人は一定期間の後、亡くなった方に借金等があれば、その債権者等に弁済を行って清算します。
清算と並行して家庭裁判所は「この人の相続人はいませんか。」という公告をします。
これによっても相続人が現れず、公告期間が満了すれば、相続人捜しは打ち切りとなります。
相続人捜しが打ち切りとなった後、3ヶ月間のうちは、特別縁故者からの遺産分与請求をすることが認められています。
「特別縁故者」というのは次のような者です。
家庭裁判所は、こうした特別縁故者から「亡くなった人の遺産をください。」という請求があって、それを「良いでしょう。」と認めるときは、借金等の清算後に残っている財産があれば、その全部か一部を請求してきた特別縁故者に与えることができるのです。
これらの相続手続きを経てもなお、亡くなった方に相続財産が残っていれば、それは国庫に帰属する(財産が国のものになる)ことになります。
相続・遺言書・老後のそなえ(成年後見)について詳しく知りたい方へ
⇒「相続」に関するコラム
⇒「遺言書」に関するコラム
⇒「老後のそなえ」に関するコラム
こんなお悩みやお困りごとを解決します!
⇒「相続手続き」を失敗したくない
⇒確実に実現される「遺言書」を作りたい
⇒老後の不安をなくしたい