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農地の相続について、先生方に講師をしてきました
農地は相続が難しい!
あまり知られていないのですが、「田」や「畑」といった農地は、相続が難しい財産です。
遺産分割が難しい不動産なのです。
その理由は、大きく次の3つです。
1.農地の評価額と周辺宅地の売値が違う
これは市街化農地や、市街化周辺農地で特に問題になることかと思います。
農地を相続する相続人と、他の相続人との間で、法定相続分がたとえば3分の1ずつだったとします。
それに従って遺産分けをしようとなった場合に、基になる農地の評価額に争いが生じて、なかなか分割ができなくなる恐れがあるということです。
遺産分割において不動産の評価額は、相続人全員が納得すればどのように評価してもいいことになっています。
たいていは市場で取引されている価格、時価を基準とすると思います。
しかし、時価の指す金額自体がそもそも曖昧なものなので、いくらというはっきりした金額がありません。
そのために、遺産分割においては、不動産の評価方法を巡って争いが起きることになります。
不動産をもらう側としては、できるだけ安く評価をして自分の取り分が少ないことを主張して、さらに他の財産の分け前をも請求する。
一方で、不動産をもらわない相続人は、できるだけ不動産を高く評価をして、不動産をもらう相続人が多くの財産をもらっていることを主張し、より多くの代償金を請求する。
そうしてモメるわけです。
農地は一般的に低く評価されていますから、農地を相続した相続人は、農地としての低い評価額を主張します。
その他相続人は、農地を宅地に転用して売却することも可能であるし、純粋な農地としての価額には納得できないから、「周辺の宅地は、こんな高く売られているじゃないか」と主張する。
こんな風にもめるのです。
だから、農地は遺産分割しにくいのです。
2.農地は管理しなきゃいけない。
農地法によって、農地を所有したり借りたりしてる人は、農地を農業のために適性に管理しなきゃいけないという義務を負います。
農家でない者にとっては、農地の管理は難しいですよね。
親が農家でも、その子が農家とは限りません。
農地は耕作にしか使えない土地ですから、農家でない者にとっては厄介な不動産になってしまいます。
だから、農地は遺産分割しにくいのです。
3.農地は売りにくい
農地は、用途が「耕作のため」と決まっており、それ以外には使うことができません。
そして、農家以外の人は買ったり借りたりすることができません。
もちろん、この制限は「農地」であって「農地じゃない土地」にすれば誰にでも売ることができます。
これを「農地転用」といいますが、「農地転用」するにも許可が必要で、その許可は簡単にもらえるものではありません。
このように、農地は、売却などに対して極めて厳しい制限をしていて、自由に売却することができないのです。
国土が広くない日本が、食糧自給率を維持していくために、農地は守っていかなければいけない土地だからです。
ところが、相続の場合は、相続人が農家でなくても許可なく農地が受け継がれるのです。
そうすると、農地を受け継いだ農家でない相続人にとっては、農地の管理ができないうえに、簡単に売ることもできない。
だから、農地は遺産分割しにくいのです。
農地の相続について、行政書士の先生方に講師をしてきました
このように、相続が難しい農地について、問題点や相続対策について、私の経験等を踏まえて行政書士の先生方を前に講師をしてきました。
多くの方に、生前の元気なうちに「相続対策」を考えるきっかけを提供して、相続についてお困りにならないようにお手伝いしていくことが、我々のような専門家の使命だと思います。
相続業務をとおして、農地を守ったり、耕作放棄地になりつつある土地を再び価値のある土地として活用して、地域社会や地域経済を支える専門家が行政書士です。
そんなお話をさせていただきました。
農地の相続についてお困りの方、お気軽にご相談ください。
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