- なんでも相談
母が成年後見制度を利用することに、姉が反対するので困っています。
私には82歳の母と61歳の姉がいます。
母は、70代後半くらいから認知症を発症し、最近ではほとんど会話が成り立たないくらい判断能力が衰えています。
私は、亡くなった父が残した家で母と同居しており、母の身の回りの世話をしながら生活しています。
姉は、他県で暮らしており、母の世話は一切しません。
母の生活のために、母の年金を使っているのですが、今まで何も言ってこなかった銀行から、最近になって「早めに成年後見制度の利用をするように。」と言われてしまいました。
私なりに調べて、一緒に暮らしている私が母の後見人候補者として、後見開始の審判の申立てをすることにしました。
大切なことなので、姉にこのことを話したところ、姉は、「母親の財産をとるつもりだろ。」などと言って、私が後見開始の審判の申立てをすることに対して凄い剣幕で反対しています。姉は、私が後見人の立場を利用して母の財産を横領して、自分の相続分が減るのではないかと心配しているのです。
普段、母の世話など一切しない姉なのに、そんな姉でも反対されてしまうと成年後見制度は利用できないのでしょうか。
このような時、どうしたら良いでしょうか。
親族の反対があっても、成年後見制度は利用できる。
ご相談のケースのように、本人の成年後見制度をめぐって親族間が争っているケースというのは少なくありません。
あなたの場合には、お姉様が後見開始の審判の申立てに強く反対しているということですが、後見開始の審判をする要件さえ整っているのであれば、たとえ親族の反対があったとしても、その審判を受けることは可能です。
後見開始の審判の申立てそのものはできるということです。
親族の反対がある場合に考えられること
ただし、ご相談では、あなたを後見人候補者として申立てをされたということですが、お姉様が申立てに反対をされている状況ですと、実際の後見人には、親族ではない第三者が選任されることになるでしょう。
さらに、もしあなたが後見開始の審判の申立てをした後に、お姉様からも後見開始の審判の申立てがなされると、お母様について2つの申立てが競合してしまうことになります。
その場合、家庭裁判所は、あなたとお姉様の双方に対して「話し合いで争いを解決するように。」と求めてくるでしょう。
その話し合いが決裂するような場合には、家庭裁判所による家族関係の調整の調停などによって争いを解決しなければなりません。
そうなると、お母様を成年後見制度によってお守りすることが遅れてしまいますし、お姉様と争っている間に、ご相談にありましたお母様の銀行口座の利用ができなくなってしまう可能性もあります。
親族の反対があるなら、第三者を後見人候補者とするのもひとつの方法
そこでご提案ですが、例えば、あらかじめ後見人候補者をあなたではなく、第三者である専門家に相談するなどして、まずお姉様が不安に感じている部分の解消を試みてはいかがでしょうか。
余談ですが、口座名義人の本人に判断能力の低下があることを金融機関が知った場合、通常は成年後見制度の利用を求められます。
昔は、本人でなくても、金融機関の職員と顔なじみであったり、常連であったりすると、よしみで預金の引き出しに応じてくれることもあったようです。
しかし、預金を不正に引き出す事件が多く、今では金融機関での本人確認が非常に強化され、最近では本人以外からの預金の引き出し依頼に応じることは稀になっているようです。
親族の反対があるからといって成年後見制度の利用を止めてしまうと、後から困る事態になってしまうことも考えられます。
第三者である専門家に相談するなどして、早めに動かれた方が良いかと思います。
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