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遺留分を侵害した遺言書も有効です!

そもそも「遺留分」とは何か

「遺留分」というのは、兄弟姉妹を除く相続人に認められた権利で、「亡くなった方の財産の一定割合について、相続権を保障する」というものです。
遺留分の割合は次のとおりです。

  • 直系尊属(両親)のみが相続人の場合・・・亡くなった方の財産の3分の1
  • それ以外の場合・・・亡くなった方の財産の2分の1

これが遺留分として、兄弟姉妹を除く相続人全員に保障されます。
この遺留分に、相続人それぞれの法定相続分をかけたものが、相続人ひとりひとりの遺留分になるというわけです。
例えば亡くなった方が、「全財産をアカの他人に相続させる」という遺言書を残していたとしても、兄弟姉妹を除く相続人は、自分の遺留分だけは相続権を主張できるのです。

遺留分侵害

「遺留分」を侵害してはいけない、ということではない

ここで、勘違いをしてはいけないのが、「遺留分を侵害した遺言書も有効である」ということです。
遺言書を残そうと考えている方の中には、「相続人の遺留分を侵害しないようにしなければならない。」と思い込んでおられる方が少なくないようです。

自分の財産を、誰に、何を、どのように残すかは、遺言を残す人の自由です。
ですから、アカの他人や相続人の中の誰か1人に「全財産を相続させる」という遺言書を残しても、法的には全く問題ありません。
有効な遺言書ということになります。

遺言書は自由

「遺留分」は、遺留分を持つ人が請求して初めて意味を持つもの

上記のとおり、兄弟姉妹を除く相続人全員には遺留分が保障されています。
ですから、亡くなった方の遺言書によって遺留分を侵害された相続人は、侵害された遺留分を取り戻す権利があります。

「遺留分をよこしなさい。」と請求できるということです。
このように「遺留分をよこしなさい。」と請求することを、「遺留分減殺請求」といいます。

裏を返せば、遺留分を侵害された相続人が「遺留分減殺請求」をしないかぎり、その遺言書はそのまま執行して良いということになるのです。
遺言書を残す方にも、遺言書によって遺留分を侵害された方も、このことは知っておいた方が良いでしょう。

遺留分減殺請求

遺留分減殺請求権の時効消滅

なお、余談ですが、遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が相続の開始と減殺すべき贈与や遺贈があったことを知った時から1年経過すると、時効で消滅してしまいます。
それを知らずにいたとしても、相続開始から10年経ってしまった時にも時効で消滅してしまいます。

また、上記のとおり、兄弟姉妹には遺留分はありません。
ですから、子どもがいない夫婦で、両親も他界してしまっている場合、お互いに「全財産を妻(夫)に相続させる。」という遺言書を残せば、遺言書のとおり妻(夫)は財産を全て相続することができます。
このように遺言書を活用することで、長年付き添ってくれた伴侶の幸せを守ることができるのです。

遺留分減殺請求権の消滅時効

 

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