なんでも相談 2015.05.09 生前贈与した場合、相続人の遺留分はどうなりますか。 私の死後、私の財産は相続人である夫と母親に相続されることが分かりました。しかし、夫に財産を残したくないので、母親に財産を相続させるという遺言書を残そうと考えています。 それでも夫には遺留分があるので、夫が遺留分を請求すれば、夫に私の財産が渡ることが分かりました。 それなら、財産を母親に生前贈与すればどうなるでしょうか。 私が母親に生前贈与した分に対しても、夫は遺留分を主張できるのでしょうか? 行政書士 宮澤優一 より: 5月 9, 2015 7:57 am 生前贈与をしても、夫の遺留分は生前贈与した分にも及びます 昨日のこの質問の続きになりますね。 ⇒遺留分を放棄させることは可能ですか? 最初に結論を申し上げますと、「生前贈与をしても、夫の遺留分は生前贈与した分にも及ぶ。」ということになります。 生前贈与は、「死亡する1年前までになされたもの」か「遺留分を侵害することを知ってなされたもの」でない限りは、遺留分を請求できる対象とはなりません。 しかし、相続人に対する「特別な利益になるような生前贈与」は、基本的には何年以上前になされたものであっても遺留分を請求できる対象となるのです。(最高裁判所平成10年3月24日判決) そのようにしないと、亡くなった方が特定の相続人だけに全財産を生前贈与してしまった場合、遺留分という制度が全く無意味となってしまうからです。 ですから、仮にあなたが相続人である母親に対して財産を生前贈与をしていたとしても、夫が遺留分をよこしなさいと請求することは可能です。 つまり、生前贈与をしたとしても、通常の相続があった場合と全く同じとお考えください。 もっとも、前回のお答えの中にも記しましたが、夫が遺留分を請求しない限り、その生前贈与は有効です。 何年前の生前贈与まで遺留分が請求できる? なお、かなり昔になされた生前贈与までが遺留分を請求できる対象となると、生前贈与を受けた相続人にとっては酷になる場合があります。 つまり、「今頃請求されても、全部使っちゃったよ。」ということが考えられるわけです。 裁判例などを見る限りでは、例えば40年以上前の預貯金の生前贈与などがその例としてあがっています。 ということは、5~10年前程度の生前贈与の場合は、余程の事情がない限り遺留分を請求できる対象となる可能性が高いのではないかと考えられます。 生前贈与は、贈与税に注意しましょう。 以下は、遺留分とは関係のない余談となります。 生前贈与は、贈与する相手1人につき1年間に110万円までは贈与税がかかりませんが、それ以上の額になる場合は贈与税が発生します。 ご注意ください。 相続・遺言書・老後のそなえ(成年後見)について詳しく知りたい方へ ⇒「相続」に関するコラム ⇒「遺言書」に関するコラム ⇒「老後のそなえ」に関するコラム こんなお悩みやお困りごとを解決します! ⇒「相続手続き」を失敗したくない ⇒確実に実現される「遺言書」を作りたい ⇒老後の不安をなくしたい <前の記事 遺留分を放棄させることは可能ですか? 一覧に戻る 次の記事> 公正証書遺言を作るとき、証人は誰に頼めば良い??
生前贈与をしても、夫の遺留分は生前贈与した分にも及びます
昨日のこの質問の続きになりますね。
⇒遺留分を放棄させることは可能ですか?
最初に結論を申し上げますと、「生前贈与をしても、夫の遺留分は生前贈与した分にも及ぶ。」ということになります。
生前贈与は、「死亡する1年前までになされたもの」か「遺留分を侵害することを知ってなされたもの」でない限りは、遺留分を請求できる対象とはなりません。
しかし、相続人に対する「特別な利益になるような生前贈与」は、基本的には何年以上前になされたものであっても遺留分を請求できる対象となるのです。(最高裁判所平成10年3月24日判決)
そのようにしないと、亡くなった方が特定の相続人だけに全財産を生前贈与してしまった場合、遺留分という制度が全く無意味となってしまうからです。
ですから、仮にあなたが相続人である母親に対して財産を生前贈与をしていたとしても、夫が遺留分をよこしなさいと請求することは可能です。
つまり、生前贈与をしたとしても、通常の相続があった場合と全く同じとお考えください。
もっとも、前回のお答えの中にも記しましたが、夫が遺留分を請求しない限り、その生前贈与は有効です。
何年前の生前贈与まで遺留分が請求できる?
なお、かなり昔になされた生前贈与までが遺留分を請求できる対象となると、生前贈与を受けた相続人にとっては酷になる場合があります。
つまり、「今頃請求されても、全部使っちゃったよ。」ということが考えられるわけです。
裁判例などを見る限りでは、例えば40年以上前の預貯金の生前贈与などがその例としてあがっています。
ということは、5~10年前程度の生前贈与の場合は、余程の事情がない限り遺留分を請求できる対象となる可能性が高いのではないかと考えられます。
生前贈与は、贈与税に注意しましょう。
以下は、遺留分とは関係のない余談となります。
生前贈与は、贈与する相手1人につき1年間に110万円までは贈与税がかかりませんが、それ以上の額になる場合は贈与税が発生します。
ご注意ください。
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