宮澤優一事務所

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遺産分割協議をやり直したい場合はどうしたら良いですか。

半年ほど前に父が他界した際、相続人である母と兄と私で遺産分割協議を行い、兄が土地のひとつを相続することになったのですが、事情があって、私がその土地を相続することとしたいのです。
最初の遺産分割協議をやり直したいのですが、どうしたら良いでしょうか。

  • 行政書士 宮澤優一 より:

    遺産分割協議は、原則としてやり直しを主張できない

    どのようなご事情があったのかが分かりませんので、基本的なルールを申し上げます。
    基本的には、いったん成立した遺産分割協議は、やり直しを主張することはできません。

    これが、遺産分割協議の基本的なルールです。
    遺産分割協議は、いったん成立してしまうと、それを解除してやり直すことが難しいのです。

    ただ、絶対にやり直しできないものでもありません。
    次のような場合には、遺産分割協議をやり直すことができます。

    なお、遺産分割協議が終わってから、新たな遺産が出てきた場合、最初に行われた遺産分割協議は有効です。
    新たに出てきた遺産についてのみ改めて協議を行って分割方法を決めれば問題ありません。

    遺産分割協議をやり直すことができる場合

    遺産分割協議が無効

    例えば、次のような場合には、その遺産分割協議は無効となり、協議のやり直しとなります。

    • 脅迫されて無理矢理に押しつけられた内容の遺産分割協議
    • 相続人の誰かが、故意に遺産を隠していた場合
    • 相続人を1人でも外して行われた遺産分割協議
    • 相続人でない人を加えて行われた遺産分割協議

    相続人全員が遺産分割協議のやり直しに合意している

    もし、相続人全員が遺産分割協議をやり直すことについて合意をすれば、もう一度遺産分割協議をやり直すことができます。
    ご質問の例で言えば、相続人であるお母様、お兄様、あなたの3人で「遺産分割をやり直そう。」という話し合いがまとまれば、やり直しができるのです。
    遺産分割協議をやり直せば、最初に行った遺産分割は、最初から無かったことになります。

    逆に言えば、相続人の間で最初に行った遺産分割協議の内容についてもめているような場合には、もはや遺産分割協議のやり直しは難しいでしょう。
    そんな時でも、相続人の1人が勝手に遺産分割協議を解除してしまうということは認められていません。
    今回のご質問にありました事情と言うのが、もし、相続人の間でもめていることがあるという場合には、家庭裁判所での調停や審判によって、遺産分割協議をやり直すほかありません。

    遺産分割協議をやり直すときに注意すべきこと

    遺産分割協議をやり直すこととした場合には、注意しなければならないことがあります。
    それは、遺産分割協議のやり直しということであっても、税務署からは「相続」ではなく、新たに「贈与」があったものと判断されて、贈与税が課せられる可能性があるということです。

    ご質問の事例で言えば、「お父様の土地をお兄様が相続することとしていたものを、あなたが相続する」という内容に変更したとしても、税務署からは「お父様からお兄様が土地を相続し、その後、お兄様がその土地をあなたに贈与した」と判断され、その贈与について贈与税が課せられる可能性があるということです。
    このあたりについては専門家に確認するなど、ご注意ください。

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