- コラム
遺言書の種類と特徴(公正証書遺言と自筆証書遺言)
公正証書遺言と自筆証書遺言、それぞれの長所と短所
遺言書には、厳格な方式が求められます。
「遺言書は、書き方などが法律でしっかりと決まっている」ということです。
なぜかといえば、変造や偽造をされないようにして、遺言書を書いた人の意思を確実に残すためです。
法律には何種類かの方式が定められていますが、通常、遺言書を残す場合には「自筆証書遺言」か「公正証書遺言」のいずれかを選択します。
このコラムでは、この2種類に絞って、その特徴(長所と短所)を説明いたします。
自筆証書遺言の長所 ◎
何といっても手軽に自分だけで作成できることです。
遺言者が自分ひとりで作成できるので、遺言の内容を他に知られてしまう可能性も低いといえます。
自筆証書遺言の短所 ×
逆に言うと、遺言者が自分ひとりで作成できてしまうので、その遺言書が本人の意思で作成したことを証明することが難しいということがいえます。
ですから、自筆証書遺言に対する信頼度はどうしても低くなります。
「この遺言書は、本当に本人が作ったものなのか。」という疑問を持たれやすいということです。
また、遺言書の保管は自己責任になりますから、紛失したり、偽造・変造・破棄されてしまう危険性があります。
その他、自筆証書遺言は相続を開始するにあたり、家庭裁判所に対して「検認」の申立てをしなければなりません。
遺言者が亡くなってから、すぐに遺言の内容が実現できないということです。
この「検認」には、1ヶ月~2ヶ月がかかります。
公正証書遺言の長所 ◎
公正証書遺言は公証人と証人2人の目の前で作成されますから、本人が自分の意思で作成した遺言書であるという信頼性が高くなります。
そのため、家庭裁判所への「検認」の申立てをせず、遺言者が亡くなってすぐに遺言の内容を実現することができます。
そして、遺言書の原本を公証人役場で保管してくれますから、紛失したり、偽造・変造・破棄されてしまう危険性はありません。
公証人という法律の専門家が作成するので、遺言書の内容についても不備が生じる危険性は極めて低いといえます。
総じて公正証書遺言は信頼性が高いため、遺言書の有効無効をめぐるトラブルに発展する可能性はかなり低いでしょう。
公正証書遺言のデメリット ×
しかし、必要書類の収拾をしたり、公証人との打ち合わせを重ねたり、公証役場への手数料が発生するなど、遺言書を作成するために手間と費用がかかってしまいます。
また、遺言の内容を公証人と証人2名に知られてしまいます。
そこに抵抗を感じる人もいることでしょう。
結局、自筆証書遺言と公正証書遺言では、どちらがいいの??
どちらがよいと一概に申し上げることはできません。
上記のメリットデメリットを比較して、自分にとってどちらが良いかを考えていただければ幸いです。
ただ、やはり信頼性の面から、トラブル防止しつつ確実に自分の想いを相続に反映したいとお考えであれば、手間と費用はかかっても公正証書遺言の方が良いでしょう。
そこで、自筆証書遺言の「手軽に作成できる」というメリットを活かして、まずは自筆証書遺言を作成し、後々に公正証書遺言に切り替えるというのも方法のひとつです。
遺言書を残すのに「早すぎる」ということはありません。
心身ともにお元気なうちから相続のことを考え、ご家族とも話し合い、自分の想いを伝えてみんなが幸せになる遺言書を残すことをお考えになってはいかがでしょうか。
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