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内縁の妻は財産分与の請求はできますか?

正式に結婚しているわけではないのですが、もう20年近く一緒に生活しているパートナー(男性)がいます。
いろいろ事情があって正式な結婚はしませんでしたし、パートナーの親族から文句を言われると思うので、それが面倒でこれからも正式な結婚はしないと思います。

ただ、パートナーが亡くなった後のことが経済的に不安です。
「内縁関係では財産の相続はない」と聞きましたが、「財産分与の請求はできる」と聞きました。
相続と財産分与の意味がよく分かりません。
内縁関係では相続はないけど、財産分与の請求ができるというのは、どういうことでしょうか。

  • 行政書士 宮澤優一 より:

    内縁関係が生きている間に解消された場合の財産分与は認められる。
    内縁関係の相手が亡くなった際の相続は認められない。

    ご質問ありがとうございます。
    結論は上記のとおりなのですが、ご質問について項目を分解してご説明いたします。

    内縁の関係の原則

    「内縁」というのは、婚姻の意志が双方にあるけれど入籍の手続きをしていない、夫婦同然の生活をしている男女関係のことです。
    余談ですが、夫婦同然の生活をしていても、婚姻する意志がない場合は「同棲」です。

    「内縁」にしても「同棲」にしても、入籍の手続きをしていませんから法律上の夫婦ではありません。
    ですから、原則として法律の保護を受けることができません。

    財産分与とは、離婚の際に財産を精算すること

    財産分与は、離婚の際、婚姻中にお互いが築きあげてきた財産を清算することです。

    夫婦は一緒に生活している間、協力して財産を築きあげますが、その財産は夫名義とされることが多いのではないでしょうか。
    しかし、たとえ夫名義となっている財産であって、妻の協力があってこそ築きあげることができたものについては、夫婦共有の財産と考えられます。

    これを、離婚の際に貢献の割合に応じて清算し、分け合うことを「財産分与」といいます。
    妻が職業を持っていた場合も、持っていなかった場合も同様です。
    離婚原因がある側からも請求できます。

    内縁関係でも、財産分与は認められる

    「内縁」については、原則として法律の保護を受けることができません。
    しかし、婚姻に準ずる関係として、ある程度の法律の保護が与えられています。

    例えば、夫婦の貞操義務、同居義務、協力義務、扶助義務、婚姻費用分担義務などは、婚姻している夫婦と同様です。
    また、内縁関係を不当に破棄した相手に対して、慰謝料を請求することも認められています。

    財産分与についても、請求が認められています。
    内縁関係にある2人で築いた共有財産がある場合には、内縁の解消(婚姻している夫婦でいうところの離婚と同じ)により財産分与が認められます。

    離婚と同じ意味を持つ内縁の解消については、基本的に夫婦関係と同じように考えることになっているのです。

    内縁関係では、相続は認められない

    相続というのは、亡くなった方の財産を承継することです。
    例えば夫が亡くなったときに、夫名義の財産を承継することです。
    婚姻している夫婦であれば、配偶者が亡くなったときには、もう一方の配偶者が相続人になります。

    しかし、内縁関係は、法律上の婚姻関係ではありませんので、内縁関係の一方が亡くなっても、もう一方は相続人にはなれません。
    亡くなった方に子どもがいれば、その子どもは相続人になりますが、パートナーは相続人にはなれないのです。

    内縁関係の相手が死亡した場合に、相手の相続人に対して財産分与を請求できるのか

    『内縁関係の夫が死亡した場合に、内縁の妻が相続人になれないのは仕方ないとしても、夫と一緒に築いてきた財産があるのだから、夫の相続人に対して財産分与を請求できるのではないか。』

    内縁関係にあった女性が、相手であった男性の死後、その男性の相続任に対して財産分与を求めて争った裁判がありました。

    この裁判の結論をいえば、この訴えは一旦は認められたものの、高裁で覆されて、やはり「内縁の妻は、相手が死亡した際に財産分与を請求することはできない。」とされました。
    法律上は、正式な入籍をしていないと厳しい扱いになるということが改めて確認されたといえます。

    ただし、内縁関係であれ2人で協力して築きあげてきた財産も当然あるわけで、裁判例の中には内縁関係2人の「共有」を認めた判例もあります。
    ですから、現実的には「ケースバイケース」な部分もあります。

    しかし、大筋では内縁関係の相手が亡くなった際に、もう一方に財産分与は認めないというのが、現在の方向性といえます。

    内縁関係では、お互いに遺言書を残しておきましょう

    内縁関係では相続は認められていませんが、「内縁の妻に遺贈する」という内容の遺言書があれば、その遺言書によって内縁の相手に財産を残すことが可能になります。

    法律上、亡くなった人の親や子どもなどの相続人には「遺留分」という「相続が保障された部分」があるので、財産の全てを内縁の相手に残すことは難しいかも知れませんが、遺言書を残すことで大切な相手に財産を残すことが可能になります。

    内縁関係では、お互いに遺言書を残しておいてはいかがでしょうか。

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