なんでも相談 2017.01.19 兄が、認知症になった母の財産を使い込んで困ってます 母は、5年ほど前に認知症になり、今は全く意思疎通ができない状態です。 母は、有料老人ホームに入所しているのですが、施設への利用料の支払いなど、母の世話は兄夫婦がやってくれています。 ところが、その兄が、母の預金を勝手に引き出して、かなりの金額を自分のために使い込んでいることが分かりました。 母名義の土地も売ろうとしてるようです。 このままでは母の財産はなくなって、生活がままならなくなってしまいます。 母の財産を守るためにどうしたら良いでしょうか。 行政書士 宮澤優一 より: 1月 19, 2017 11:52 pm 成年後見制度を活用する方法が考えられます。 家庭裁判所に後見開始の審判を申し立て、お母様の成年後見人を選任してもらい、その成年後見人に財産を管理してもらう方法が考えられます。 必要があれば、成年後見人が選任されるまでの間、財産管理をしてもらうための財産管理者を選任してもらうため、審判前の保全処分を申し立てをすることもできます。 【参考記事】 成年後見制度とはどんな制度? こんなときに成年後見制度が必要です! 成年後見制度における判断能力の目安 成年後見制度を利用しても戸籍に載らないというのは本当ですか? 成年後見制度の利用が困難な方に ~成年後見制度利用支援事業~ 後見開始の審判の申立て 認知症などにより、自分の行為の結果を判断する能力が全く無い人については、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てて、成年後見人を選任してもらうことができます。 後見開始の審判は、4親等内の親族であれば申立てできますので、娘であるあなたも申立てをすることができます。 後見開始の審判がなされ、成年後見人が選任されると、成年後見人が判断能力を無くした人の財産を管理します。 ですから、ご質問の場合、お母様の預金通帳、銀行印、実印、不動産の権利証なども成年後見人が保管することになりますから、お兄様が勝手に預金を引き出したり、不動産など、他の財産を勝手に処分することはできなくなります。 審判前の保全処分の申立て 後見開始の審判は、通常、本人の判断能力についての鑑定や本人の状況についての調査を経て行われますので、審判までにある程度の時間がかかります。 そこで、後見開始の審判までの間に、第三者に財産を使い込まれてしまうなど、本人の財産が流出してしまうおそれがある場合には、後見開始の審判と併せて、審判前の保全処分を申し立てる必要があります。 審判前の保全処分により、家庭裁判所は、後見開始の審判が効力を生じるまでの間、財産管理者を選任したり、事件の関係人に対し、本人の財産の管理について指示することができます。 ご質問の場合、後見開始の審判までの間に、お兄様がさらにお母様の預金を引き出してしまうとか、お母様の不動産が売却されてしまうなどのおそれがあれば、後見開始の審判と併せて審判前の保全処分の申立てを行うと良いでしょう。 成年後見以外の制度について 以上は、お母様の判断能力が全く無くなっているということを前提にして説明いたしました。 仮に、お母様の状態が、「後見開始の審判がなされるほどではないけれど、判断能力が低下している」という場合については、保佐または補助という制度があります。 成年後見の場合と同様、家庭裁判所に保佐開始の審判または補助開始の審判を申し立て、保佐人、補助人を選任してもらうのです。 どちらも、4親等内の親族であれば申立てできます。(ただし、補助開始の審判は申立てについて本人の同意が必要です。) 保佐人や補助人には、財産管理についての包括的な代理権はありませんが、特定の法律行為について保佐人や補助人に代理権を付与する旨の審判を申し立てることができます。(ただし、本人の申立てまたは同意が必要です。) ですから、ご質問のようなケースでは、「金融機関からの預金の入出金および解約」「所有不動産の売却および売却代金の受領」について、保佐人や補助人に代理権を付与する旨の審判を申し立てるなどの方法が考えられます。 また、保佐、補助においても成年後見の場合と同様に、審判前の保全処分を申立てすることができます。 相続・遺言書・老後のそなえ(成年後見)について詳しく知りたい方へ ⇒「相続」に関するコラム ⇒「遺言書」に関するコラム ⇒「老後のそなえ」に関するコラム こんなお悩みやお困りごとを解決します! ⇒「相続手続き」を失敗したくない ⇒確実に実現される「遺言書」を作りたい ⇒老後の不安をなくしたい <前の記事 養子は、養親の財産も、実親の財産も相続できる? 一覧に戻る 次の記事> 親の生活費を、他の兄弟にも負担して欲しい
成年後見制度を活用する方法が考えられます。
家庭裁判所に後見開始の審判を申し立て、お母様の成年後見人を選任してもらい、その成年後見人に財産を管理してもらう方法が考えられます。
必要があれば、成年後見人が選任されるまでの間、財産管理をしてもらうための財産管理者を選任してもらうため、審判前の保全処分を申し立てをすることもできます。
【参考記事】
成年後見制度とはどんな制度?
こんなときに成年後見制度が必要です!
成年後見制度における判断能力の目安
成年後見制度を利用しても戸籍に載らないというのは本当ですか?
成年後見制度の利用が困難な方に ~成年後見制度利用支援事業~
後見開始の審判の申立て
認知症などにより、自分の行為の結果を判断する能力が全く無い人については、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てて、成年後見人を選任してもらうことができます。
後見開始の審判は、4親等内の親族であれば申立てできますので、娘であるあなたも申立てをすることができます。
後見開始の審判がなされ、成年後見人が選任されると、成年後見人が判断能力を無くした人の財産を管理します。
ですから、ご質問の場合、お母様の預金通帳、銀行印、実印、不動産の権利証なども成年後見人が保管することになりますから、お兄様が勝手に預金を引き出したり、不動産など、他の財産を勝手に処分することはできなくなります。
審判前の保全処分の申立て
後見開始の審判は、通常、本人の判断能力についての鑑定や本人の状況についての調査を経て行われますので、審判までにある程度の時間がかかります。
そこで、後見開始の審判までの間に、第三者に財産を使い込まれてしまうなど、本人の財産が流出してしまうおそれがある場合には、後見開始の審判と併せて、審判前の保全処分を申し立てる必要があります。
審判前の保全処分により、家庭裁判所は、後見開始の審判が効力を生じるまでの間、財産管理者を選任したり、事件の関係人に対し、本人の財産の管理について指示することができます。
ご質問の場合、後見開始の審判までの間に、お兄様がさらにお母様の預金を引き出してしまうとか、お母様の不動産が売却されてしまうなどのおそれがあれば、後見開始の審判と併せて審判前の保全処分の申立てを行うと良いでしょう。
成年後見以外の制度について
以上は、お母様の判断能力が全く無くなっているということを前提にして説明いたしました。
仮に、お母様の状態が、「後見開始の審判がなされるほどではないけれど、判断能力が低下している」という場合については、保佐または補助という制度があります。
成年後見の場合と同様、家庭裁判所に保佐開始の審判または補助開始の審判を申し立て、保佐人、補助人を選任してもらうのです。
どちらも、4親等内の親族であれば申立てできます。(ただし、補助開始の審判は申立てについて本人の同意が必要です。)
保佐人や補助人には、財産管理についての包括的な代理権はありませんが、特定の法律行為について保佐人や補助人に代理権を付与する旨の審判を申し立てることができます。(ただし、本人の申立てまたは同意が必要です。)
ですから、ご質問のようなケースでは、「金融機関からの預金の入出金および解約」「所有不動産の売却および売却代金の受領」について、保佐人や補助人に代理権を付与する旨の審判を申し立てるなどの方法が考えられます。
また、保佐、補助においても成年後見の場合と同様に、審判前の保全処分を申立てすることができます。
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