宮澤優一事務所

0263-88-3323

お知らせ・コラム
セミナー開催情報から日常で役立つ一般知識まで、幅広く発信中です。

  • HOME
  • 相続財産のほとんどが農地。上手な分割方法を教えてください。
  • なんでも相談

相続財産のほとんどが農地。上手な分割方法を教えてください。

初めまして。松本市で農業をしている者です。
父が亡くなり、その相続で困っています。
私の家は、代々、農業をやっており、父名義の農地が多くあります。
相続する財産は、ほとんどが田や畑といった農地です。
私の家族は、母親と弟2人ですが、農業は亡くなった父と私と母の3人でずっとやってきました。
弟たち2人は、それぞれに会社勤めをしながら、父からもらった土地に家を建てて家庭を持っています。
亡くなった父の財産を相続するにあたり、弟たち2人から財産分けの話を投げかけられています。
彼らも住宅ローンなどがあるので、正直、この相続に期待しているところがあると思いますし、その気持ちは理解しています。
しかし、亡くなった父の遺産のほとんどは農地ですし、私も農業で生活していますので、農地を弟たちに分けてしまうと困ってしまうのです。
このように相続する財産のほとんどが農地の場合、上手に遺産分けする方法を教えてください。

  • 行政書士 宮澤優一 より:

    農地を含む遺産の分割は、農業を維持できるように、相続人全員で協力し合いましょう。

    相続に関するご質問ありがとうございます。
    相続財産が、簡単に分けることができない不動産だけという場合、その遺産の分割は難しいですね。

    特に、農地は分割が難しいと思います。

    農地を物理的に分けるといっても、分けてしまうと農業そのものが成り立たなくなってしまうおそれがあります。
    農地を売って、そのお金を分け合うとすると、農業を営んでいるあなたが仕事を失ってしまうことになります。

    まず、農地の相続で大切なことは、相続人全員の理解と協力だと思います。

    農地の相続

    農地が細分化されると農業に支障が出るのではないでしょうか。

    現代の農業は、ある程度の規模がないとなかなかやっていくのは難しいと聞きます。

    農地が遺産のほとんどを占める農家でも、相続となれば、その相続人は、農家であるか否かに関係なく、自分の相続分を主張したいでしょう。
    しかし、だからといって相続人の主張どおりに農地を分割したのでは、零細な農家となってしまい、農業そのものに支障が出てしまうのではないでしょうか。

    以前、農家の方から、「4人の子どもの間で父親の相続についてモメた末に、農地をそれぞれ分け合うこととなったために、小規模農家になってしまった。」という嘆きの話しを聞いたことがあります。

    このような悲しい話しにならないように、農地についての遺産分割は、慎重に、相続人全員の理解と協力によって行われなければいけないと思うのです。

    農業を承継するあなたが農地を取得する一方、他の相続人に対価を支払う方法も、方法のひとつ。

    ご質問のケースのように、農地が主要な遺産の場合、分割方法として現実的に考えられるのは、「農地を分割する方法」と「債務負担の方法」のいずれかです。

    「農地を分割する方法」というのは、文字どおり、農地を物理的に分け合う方法ですが、この方法をとってしまうと、農地の分散という結果に結びついてしまい、あなたが農業を営むのに支障が出てしまいます。

    「債務負担の方法」というのは、つまり、農業承継者に農地や農業用資産を相続させ、その代わり、他の相続人に対して農地以外の財産を相続させたり、農業承継者が相続分に相当する対価を支払うことにするやり方です。

    あなたの場合、あなたが農業を承継するわけですから、望ましいのは、「債務負担の方法」による遺産分割でしょう。
    ご兄弟の理解と協力を求めてはいかがでしょうか。

    弟の相続分から、特別受益や寄与分を差し引くこともできる。

    あなたの場合、弟様は2人とも、お父様の生前にお父様から土地をもらっているようですので、この土地についてはお父様がお亡くなりになったときの価額で評価し、「相続分の前渡し」としてお父様の遺産に含めたうえで、弟様2人の相続分から差し引くことができます。

    土地以外に、自宅の建築資金などのために、弟様がお父様から贈与を受けていたのであれば、その分も同様に相続分から差し引くことができます。

    また、あなたには「寄与分」があると考えられます。
    あなたは、お父様と一緒に、長い間農業に従事してきたようですね。
    これは、あなたがお父様の相続財産の維持、増加に大いに寄与したことになります。
    「寄与分」は、弟様2人の相続分から差し引いて、その分をあなたの相続分を増やすのです。

    このように、お父様が弟様2人に対してした各生前贈与を相続財産に組み込み、弟様2人の相続分から差し引き、あなたの寄与分を考慮したうえで、農地については債務負担の方法によって分割できるよう、弟様2人に理解と協力を求めてはいかがでしょうか。

    農地以外の財産が少ない場合には、あなたが現在所有している財産で弟様2人に対して支払う必要がありますが、その分の支払いを分割にしてもらうという方法もあります。

    ご兄弟でよく話し合ってください。

    農地の相続は相続人の理解が不可欠

    相続・遺言書・老後のそなえ(成年後見)について詳しく知りたい方へ

    ⇒「相続」に関するコラム
    ⇒「遺言書」に関するコラム
    ⇒「老後のそなえ」に関するコラム

    こんなお悩みやお困りごとを解決します!

    ⇒「相続手続き」を失敗したくない
    ⇒確実に実現される「遺言書」を作りたい
    ⇒老後の不安をなくしたい

    slide2

カテゴリー

月別アーカイブ