宮澤優一事務所

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成年後見人には、どんな人が選任されますか?

私には、ずっと独り身の叔父がおり、叔父の老後は私がお世話をしてきました。
最近、叔父は認知症と診断されたこともあり、成年後見制度を利用しようと考え、家庭裁判所に成年後見開始の審判の申し立てを行う予定です。
ただ、家庭裁判所が適切な人を成年後見人として選任してくれると聞きましたが、どのような人が選任されるのか心配です。
家庭裁判所が成年後見人を選任する際には、どのような事情が考慮されるのでしょうか。

  • 行政書士 宮澤優一 より:

    まずは、成年後見開始の申し立てをする際、申立書に書いた「候補者」について検討されます。

    成年後見制度の利用を家庭裁判所に申し立てをする際、成年後見人の「候補者」を選ぶことが出来ます。

    家庭裁判所に対して、「この人に成年後見人になって欲しい。」と伝えることができるということです。

    「候補者」のパターンとしては3つあります。

    ・申立人ご自身
    ・申立人以外の親族・お知り合い
    ・裁判所におまかせ

    しかし、このように「候補者」を立てたとしても、その希望がとおるとは限りません。

    家庭裁判所では、その「候補者」が成年後見人として適任であるかどうかを審理します。

    その結果、候補者が選任されない場合もあります。

    本人が必要とする支援の内容などによっては,法律の専門家などといった、候補者以外の方を成年後見人等に選任することがあります。

    なお、家庭裁判所の審理の結果、成年後見人に誰が選任したとしても、不服の申立てはできません。

    成年後見人を選任する際、家庭裁判所が考慮する事情。

    家庭裁判所は、成年後見制度を利用する人(成年被後見人)の療養監護や財産管理という重要な責任を果たすのにふさわしい人を成年後見人に選任しなければいけません。

    そこで、家庭裁判所は、成年後見人を選任する際、成年被後見人の心身の状態や生活状況、成年後見人となる人の職業や経歴、本人との利害関係の有無、その他一切の事情を考慮しなければならないとされています。

    また、成年被後見人の意思を尊重するため、その意見も考慮するものとされています。

    そのうえで、次のような場合、家庭裁判所は「候補者」ではない人を後見人として選任するようです。

    ・親族間に意見の対立がある場合
    ・不動産の売買や生命保険金の受領など、申立ての動機となった課題が重大な法律行為である場合
    ・遺産分割協議など、候補者と本人との間で利益が相反する行為をする場合
    ・候補者と本人との間に高額なお金の貸し借りがある場合
    ・候補者と本人との関係が、昔から疎遠であった場合
    ・候補者と本人との生活費が十分に分離されていない場合
    ・候補者に能力がなく、今後の後見人としての適正な事務を遂行することが難しいと思われる場合
    ・候補者が後見人の事務をこなすことに自信がない場合。
    ・候補者に健康上の問題があったり、多忙などで適正な後見人の事務を行えない場合
    ・本人について、訴訟・調停・債務整理といった法的手続を予定している場合
    ・本人の財産状況が不明確であり、専門職による調査を要する場合

    成年後見人になれない人。(欠格事由)

    次に掲ける人は、判断能力が不十分であったり、成年被後見人と利害が対立するおそれがあるため、成年後見人にはなれません。
    これを「欠格事由」といいます。

    ①未成年者
    ②家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人または補助人
    ③破産者
    ④成年被後見人に対して訴訟をした者およびその配偶者ならびに直系血族
    ⑤行方不明者

    なお、成年被後見人、被保佐人、被補助人も、成年後見人の欠格事由とはされていません。
    しかし、実際上それらの者が成年後見人等に選任されることはあり得ません。

    法人が成年後見人になることもあります。

    成年被後見人の生活や財産の状態等によっては、個人ではなく、法人を成年後見人に選任する方が望ましい場合もあると考えられます。

    どのような法人が選任されるかというと、たとえば、福祉について専門的知識や態勢を有する社会福祉協議会や社会福祉法人などです。

    法人を成年後見人に選任する場合には、法人が安定して後見事務を遂行できるかどうか、本人の財産管理に信頼がおけるかどうか等を判断するため、法人の事業の種類および内容、法人およびその代表者と成年被後見人の利害関係の有無なども考慮されるでしょう。

    ただ、具体的にどのような法人が成年後見人として適格性を備えているといえるのかは、まだ事例が多くないため、何ともいえません。

    今後の事例をみていくより他ないと思います。




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