宮澤優一事務所

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子どもに生前贈与された株式について

1年9ヶ月前に父を亡くしました。
父は株式投資を何十年もしていました。
父の名義の株式は、法定相続人の母と私と弟の3人で分けました。

それ以外に、父から生前贈与された株式が、私と弟にはあります。
20年以上前に、父が毎月5万円年間60万円の積み立て定期預金を私と弟の名義でそれぞれ積み立てて(当時は贈与税のかからない贈与額が年間60万円)株式を買いました。

証券会社を分けて運用は父がしていましたが、配当金はずっと名義人の私と弟がそれぞれ受け取っていました。
弟はどのような銘柄をどの程度持っているのかは知りませんし、弟も私の名義になっている株式のことは知らず、お互いに尋ねません。

元になった株式購入資金は、兄弟できっちり同額であるということです。
私は結婚するときに、解約した積み立て預金通帳と株の売買計算書一式を父から生前贈与の証拠としてもらいました。

母が言うには、私名義の株式銘柄は値上がりして資産価値が上がり、弟名義の株式銘柄はぱっとしなかったということです。
母が、私の株を弟に分けたらどうかと気にしています。

質問は2点です。

①20年前に私名義になった株式を今から弟に分けると贈与になってしまわないでしょうか?
②20年以上前に父から子どもへの生前贈与が完了している株式は、今回の父の相続とは切り離して考えてよいのではないかと思うのですがいかがでしょうか。

  • 行政書士 宮澤優一 より:

    ①株式を分ければ贈与になります。

    ご質問のとおり、20年前にあなたの名義で購入された株式を弟に分けるということは、贈与になります。
    贈与税に注意が必要です。

    なお、上場株式の評価額は、次のいずれかのうち、最も低い金額です。

    1. 贈与日の終値
    2. 贈与月の終値の平均
    3. 贈与月の前月の終値の平均
    4. 贈与月の前々月の終値の平均

    非上場株式の場合、その会社の規模、株主の態様、試算の構成割合などに応じ、次のいずれかの方法で評価されます。
    ここでは、詳しい説明は省略します。

    1. 類似業種比準方
    2. 式純資産価額方式
    3. 類似業種比準方式と純資産価額方式の併用
    4. 配当還元方式

    ②相続では、「特別受益」を考える必要があります。しかし、ご質問のケースでは考える必要はないでしょう。

    相続人の中に、故人の遺言によって特別な財産(遺贈)をもらい受けたり、故人が生きている間に故人から贈与(生前贈与)を受けたりした人がいる場合、相続に不公平が生じる可能性があります。

    例えば、相続人の中の1人が生前贈与として故人から1000万円をもらっているにもかかわらず、故人の相続財産について、他の相続人と同じ相続分を受けられるとすれば、1000万円をもらった相続人だけが徳することになり、不公平ということです。

    そこで、民法は、相続人間にこのような不公平がないようにするため、結婚や住宅資金などのために生前贈与された財産や、遺言によって贈与(遺贈)された財産を、いったん相続財産に持ち戻してから各相続人の相続分を算定することにしています。

    このように生前贈与された財産や、遺言によって贈与(遺贈)された財産のことを「特別受益」といいます。
    この特別受益には、期間の制限がありません。
    何十年前の贈与であっても特別受益となります。

    ご質問のケースですが、お父様から弟様やあなたへの生前贈与(株式購入資金)額はキッチリ同額であったということですから、相続財産に関してご兄弟の間に特別受益が原因となるような不公平はありません。
    特別受益という点でいえば、ご質問内容をみる限りお母様だけが何も特別受益がありませんので、お母様はお父様から弟様やあなたへの生前贈与について、相続財産への持ち戻しを主張することはできると考えられます。
    しかし、そのお母様も、お父様から弟様やあなたへの生前贈与についてはご理解されている印象を受けます。
    ですから、お母様と弟様とあなたとの間で、お父様がお亡くなりになった時点の相続財産について遺産分割協議がまとまれば良いのです。

    結論といたしまして、20年以上前にお父様から弟様やあなたへの生前贈与が完了している株式については、お父様の相続とは切り離して考えてよいでしょう。
    株式については、贈与時点の評価額が贈与額となりますので、贈与後の評価額の増減は考える必要はありません。

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