なんでも相談 2017.02.09 遺言には、どんなことが書けるのですか? 遺言を書きたいと思っています。 ただ、遺言に書けることは法律で決まっていると聞いたのですが、どのようなことが書けるのか分かりません。 遺言には、どんなことが書けるのか教えてください。 行政書士 宮澤優一 より: 2月 10, 2017 12:02 am 遺言ができる事項は法律で定められています。 ご質問にありましたとおり、遺言ができる事項は法律で定められています。 法律で定められていること以外のことを遺言書に書いても良いのですが、法律で定められた以外のことを書いても、法律的な効果はありません。 遺言ができる事項 法律で定められた遺言ができる事項のことを「遺言事項」といいます。 遺言事項は、次のことに限られています。 ごく簡単に説明いたします。 ①認知 婚姻していない男女の間の子を、自分の子と認めることです。 ②未成年後見人の指定、未成年後見監督人の指定 未成年者の親権者が、自分の死後の未成年者の保護を考えて行うものです。 ③遺贈 遺言によって、相続人以外の第三者に、相続財産の一部または全部を無償で与えることです。 生前に財産を贈与する場合には、贈与する者と贈与を受ける者との間の契約で行うものですが、死後の財産を贈ることとなる遣贈は、遺言者が単独で行うのです。 遺贈には、遺産の全部または一部の一定割合を示して遺贈する「包括遺贈」と、特定の遺産を特定の人に遺贈する「特定遺贈」があります。 ④遺贈減殺方法の指定 法定相続人のうち兄弟姉妹以外の相続人は、どんな内容の遺言が残されていたとしても、相続財産の一定割合を相続することが保障されています。 この保証された相続分のことを「遺留分」といいます。 そして、遺留分を持っている相続人を「遺留分権利者」といいます。 もし、遺言によって指定された相続分が、遺留分に満たない場合、「遺言が遺留分を侵害する」といいます。 このように、遺言が遺留分を侵害している場合、遺留分を侵害された相続人は、遺留分に相当する相続財産について返還を求めることができます。 そのことを「遺留分減殺請求」といいます。 遺贈減殺方法の指定というのは、相続財産を受け取る人が複数人いる場合、遺留分権利者が遺留分減殺請求を受ける順番を指定します。 例えば、配偶者と子がいる場合に子への相続財産から減殺するように指定するような場合です。 ⑤寄附行為 財団法人を設立する行為です。 ⑥相続人の廃除および廃除の取消し 廃除というのは、相続人の資格を失わせることです。 逆に、廃除の取消しというのは、排除していた相続人の資格を回復させることです。 いずれも、その効力を生じさせるためには、家庭裁判所の審判が必要です。 ⑦相続分の指定および指定の委託 民法という法律で決められている相続分を変更して、それぞれの相続人の相続分を指定します。 例えば、「長男○○と次男△△に、それぞれ相続財産の2分の1を相続させる。」といった内容です。 相続分の指定の場合、相続財産に不動産や預貯金などといったように複数の財産がある場合、遺言書で抽象的に「2分の1」といっても、具体的にどの財産をどの相続人が相続するかが決められていません。 ですから、具体的な相続財産の分け方は、相続人全員による話し合い(遺産分割協議)に委ねられるということです。 ⑧特別受益者の持戻し免除 相続人の中で生前贈与や遺贈を受けた人を「特別受益者」といいます。 特別受益者が生前贈与等によって受けた利益は、その分を相続財産から差し引いて相続分を算定します。 このように、相続財産から特別受益分を差し引くことを「持戻し」といいますがすなわち持戻しを免除することです。 ⑨遺産分割方法の指定および指定の委託 遺産分割の方法を指定することです。 遺産分割方法の指定というのは、遺言によって、特定の財産を特定の相続人に直接帰属させることです。 例えば、「長野県松本市波田一丁目2番3号の土地を長男○○に相続させる。八十二銀行波田支店に預託してある預金はすべて次男△△に相続させる。」といった内容です。 ⑩遺産分割の禁止 死後5年以内にかぎり、遺産分割を禁止することができます。 ⑪共同相続人間の担保責任の指定 相続人が遺産分割の結果取得した財産に問題があったときに、他の相続人が負担する担保責任の有無および内容を指定することです。 ⑫遺言執行者の指定および指定の委託 遺言は書いただけでは実現されません。 遺言の内容を実現するために行動する人が必要です。 この遺言の内容を実現するために行動する人のことを「遺言執行者」といいます。 遺言で「遺言執行者」を指定することができます。 ⑬信託の設定 信託法に従って行うものです。 遺言事項以外の遺言の効力 以上の遺言事項以外の内容の遺言は、遺言として法的な効力はありません。 訓示的、道徳的なものにすぎません。 例えば、遺言で葬式の指図をするとか、兄弟仲良くしなさいと書いたとしても、法的な拘束力はありません。 法的な効力はありませんが、遺言を書いた理由や、なぜこのような内容の遺言にしたのかといった理由や、家族への感謝の言葉などの想いが書いてあると、相続人の感情的に遺言を受け入れやすくなるという効果はあるかと思います。 相続・遺言書・老後のそなえ(成年後見)について詳しく知りたい方へ ⇒「相続」に関するコラム ⇒「遺言書」に関するコラム ⇒「老後のそなえ」に関するコラム こんなお悩みやお困りごとを解決します! ⇒「相続手続き」を失敗したくない ⇒確実に実現される「遺言書」を作りたい ⇒老後の不安をなくしたい <前の記事 父が残した遺言の内容と違う遺産分けはできますか? 一覧に戻る 次の記事> 認知症になったら、遺言は残せませんか?
遺言ができる事項は法律で定められています。
ご質問にありましたとおり、遺言ができる事項は法律で定められています。
法律で定められていること以外のことを遺言書に書いても良いのですが、法律で定められた以外のことを書いても、法律的な効果はありません。
遺言ができる事項
法律で定められた遺言ができる事項のことを「遺言事項」といいます。
遺言事項は、次のことに限られています。
ごく簡単に説明いたします。
①認知
婚姻していない男女の間の子を、自分の子と認めることです。
②未成年後見人の指定、未成年後見監督人の指定
未成年者の親権者が、自分の死後の未成年者の保護を考えて行うものです。
③遺贈
遺言によって、相続人以外の第三者に、相続財産の一部または全部を無償で与えることです。
生前に財産を贈与する場合には、贈与する者と贈与を受ける者との間の契約で行うものですが、死後の財産を贈ることとなる遣贈は、遺言者が単独で行うのです。
遺贈には、遺産の全部または一部の一定割合を示して遺贈する「包括遺贈」と、特定の遺産を特定の人に遺贈する「特定遺贈」があります。
④遺贈減殺方法の指定
法定相続人のうち兄弟姉妹以外の相続人は、どんな内容の遺言が残されていたとしても、相続財産の一定割合を相続することが保障されています。
この保証された相続分のことを「遺留分」といいます。
そして、遺留分を持っている相続人を「遺留分権利者」といいます。
もし、遺言によって指定された相続分が、遺留分に満たない場合、「遺言が遺留分を侵害する」といいます。
このように、遺言が遺留分を侵害している場合、遺留分を侵害された相続人は、遺留分に相当する相続財産について返還を求めることができます。
そのことを「遺留分減殺請求」といいます。
遺贈減殺方法の指定というのは、相続財産を受け取る人が複数人いる場合、遺留分権利者が遺留分減殺請求を受ける順番を指定します。
例えば、配偶者と子がいる場合に子への相続財産から減殺するように指定するような場合です。
⑤寄附行為
財団法人を設立する行為です。
⑥相続人の廃除および廃除の取消し
廃除というのは、相続人の資格を失わせることです。
逆に、廃除の取消しというのは、排除していた相続人の資格を回復させることです。
いずれも、その効力を生じさせるためには、家庭裁判所の審判が必要です。
⑦相続分の指定および指定の委託
民法という法律で決められている相続分を変更して、それぞれの相続人の相続分を指定します。
例えば、「長男○○と次男△△に、それぞれ相続財産の2分の1を相続させる。」といった内容です。
相続分の指定の場合、相続財産に不動産や預貯金などといったように複数の財産がある場合、遺言書で抽象的に「2分の1」といっても、具体的にどの財産をどの相続人が相続するかが決められていません。
ですから、具体的な相続財産の分け方は、相続人全員による話し合い(遺産分割協議)に委ねられるということです。
⑧特別受益者の持戻し免除
相続人の中で生前贈与や遺贈を受けた人を「特別受益者」といいます。
特別受益者が生前贈与等によって受けた利益は、その分を相続財産から差し引いて相続分を算定します。
このように、相続財産から特別受益分を差し引くことを「持戻し」といいますがすなわち持戻しを免除することです。
⑨遺産分割方法の指定および指定の委託
遺産分割の方法を指定することです。
遺産分割方法の指定というのは、遺言によって、特定の財産を特定の相続人に直接帰属させることです。
例えば、「長野県松本市波田一丁目2番3号の土地を長男○○に相続させる。八十二銀行波田支店に預託してある預金はすべて次男△△に相続させる。」といった内容です。
⑩遺産分割の禁止
死後5年以内にかぎり、遺産分割を禁止することができます。
⑪共同相続人間の担保責任の指定
相続人が遺産分割の結果取得した財産に問題があったときに、他の相続人が負担する担保責任の有無および内容を指定することです。
⑫遺言執行者の指定および指定の委託
遺言は書いただけでは実現されません。
遺言の内容を実現するために行動する人が必要です。
この遺言の内容を実現するために行動する人のことを「遺言執行者」といいます。
遺言で「遺言執行者」を指定することができます。
⑬信託の設定
信託法に従って行うものです。
遺言事項以外の遺言の効力
以上の遺言事項以外の内容の遺言は、遺言として法的な効力はありません。
訓示的、道徳的なものにすぎません。
例えば、遺言で葬式の指図をするとか、兄弟仲良くしなさいと書いたとしても、法的な拘束力はありません。
法的な効力はありませんが、遺言を書いた理由や、なぜこのような内容の遺言にしたのかといった理由や、家族への感謝の言葉などの想いが書いてあると、相続人の感情的に遺言を受け入れやすくなるという効果はあるかと思います。
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