なんでも相談 2017.02.08 父が残した遺言の内容と違う遺産分けはできますか? 父が遺言を残して亡くなりました。 相続人は、私の母親、長男である私、長女である妹の3人です。 父の遺言には、「自宅の土地と建物は長男である私に、残りの財産は母と妹で半分ずつ相続させる」といったことが書かれていました。 しかし、この遺言を父がいつ書いたのか分かりませんが、私は現在、実家とは別の地で生活をしており母と妹夫婦が同居していますので、父の遺言どおりに遺産分けをすると、私たち家族にとってはとても都合が悪いです。 このような状況でも、父の残した遺言に従わなければいけないのでしょうか。 行政書士 宮澤優一 より: 2月 8, 2017 11:00 pm 相続人全員が合意すれば、遺言書の内容と異なる形で遺産分けできる 遺言書は、亡くなった方の想いが込められていますから、最大限尊重されるべきものではあります。 法律上も、遺言書を残した方が亡くなると、「財産を相続させる」という遺言書であれば、直ちにその財産が指定された相続人の所有となる効力が生じます。 しかし、遺言書のとおり相続するとなると、ご相談いただいたケースのように、相続人となるご遺族にとって不都合が生じてしまうことがあります。 このような場合、相続人全員が合意すれば、遺言書の内容と異なる形で遺産分けをすることが出来ます。 そのためには、次のような手順が必要です。 1.相続人全員が、遺言書の内容に従わないことに同意する。 2.相続人全員で、遺産分けをどうするか話し合う。(遺産分割協議) 3.相続人全員が話し合いに合意したら、その内容を遺産分割協議書にまとめる。(相続人全員の署名と押印が必要) 4.この遺産分割協議書に基づいて遺産を分け合って完了。 つまり、ご相談のケースの場合、相続人であるご遺族が、全員で合意することができれば、遺言書の内容と違う遺産分けができるということになります。 その場合に注意しなければならないこと 1点、注意が必要なことがあります。 遺言書に「遺言執行者」といって、遺言の内容を実現する役割を持つ人が定められている場合で、その遺言執行者が相続人以外の人である場合です。 遺言執行者には、遺言書に書かれた内容を実現する役割を果たす義務があります。(民法第1012条1項) そして、相続人は遺言執行者が遺言書の内容を実現するのを妨害してはいけません。(民法第1013条) それでも、判例では「遺言書の内容を知りながら行った相続人全員による遺産分割協議の内容は有効。」としていますから、やはり相続人全員の合意があれば、遺言書の内容と違う遺産分けができます。 ただ、遺言執行者には、遺言書に書かれた内容を実現する義務がありますから、遺言書に遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者に相続人全員の意向を伝えましょう。 相続・遺言書・老後のそなえ(成年後見)について詳しく知りたい方へ ⇒「相続」に関するコラム ⇒「遺言書」に関するコラム ⇒「老後のそなえ」に関するコラム こんなお悩みやお困りごとを解決します! ⇒「相続手続き」を失敗したくない ⇒確実に実現される「遺言書」を作りたい ⇒老後の不安をなくしたい <前の記事 高齢者を狙う犯罪撃退法の講演会を開催します 一覧に戻る 次の記事> 遺言には、どんなことが書けるのですか?
相続人全員が合意すれば、遺言書の内容と異なる形で遺産分けできる
遺言書は、亡くなった方の想いが込められていますから、最大限尊重されるべきものではあります。
法律上も、遺言書を残した方が亡くなると、「財産を相続させる」という遺言書であれば、直ちにその財産が指定された相続人の所有となる効力が生じます。
しかし、遺言書のとおり相続するとなると、ご相談いただいたケースのように、相続人となるご遺族にとって不都合が生じてしまうことがあります。
このような場合、相続人全員が合意すれば、遺言書の内容と異なる形で遺産分けをすることが出来ます。
そのためには、次のような手順が必要です。
1.相続人全員が、遺言書の内容に従わないことに同意する。
2.相続人全員で、遺産分けをどうするか話し合う。(遺産分割協議)
3.相続人全員が話し合いに合意したら、その内容を遺産分割協議書にまとめる。(相続人全員の署名と押印が必要)
4.この遺産分割協議書に基づいて遺産を分け合って完了。
つまり、ご相談のケースの場合、相続人であるご遺族が、全員で合意することができれば、遺言書の内容と違う遺産分けができるということになります。
その場合に注意しなければならないこと
1点、注意が必要なことがあります。
遺言書に「遺言執行者」といって、遺言の内容を実現する役割を持つ人が定められている場合で、その遺言執行者が相続人以外の人である場合です。
遺言執行者には、遺言書に書かれた内容を実現する役割を果たす義務があります。(民法第1012条1項)
そして、相続人は遺言執行者が遺言書の内容を実現するのを妨害してはいけません。(民法第1013条)
それでも、判例では「遺言書の内容を知りながら行った相続人全員による遺産分割協議の内容は有効。」としていますから、やはり相続人全員の合意があれば、遺言書の内容と違う遺産分けができます。
ただ、遺言執行者には、遺言書に書かれた内容を実現する義務がありますから、遺言書に遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者に相続人全員の意向を伝えましょう。
相続・遺言書・老後のそなえ(成年後見)について詳しく知りたい方へ
⇒「相続」に関するコラム
⇒「遺言書」に関するコラム
⇒「老後のそなえ」に関するコラム
こんなお悩みやお困りごとを解決します!
⇒「相続手続き」を失敗したくない
⇒確実に実現される「遺言書」を作りたい
⇒老後の不安をなくしたい