- なんでも相談
行方不明の相続人がいる場合、遺産分けはどうなるのか。
7.8年前に家出をして、行方が分からなくなっている弟がいます。恥ずかしい話なのですが、借金で首が回らなくなって夜逃げしたような弟です。
警察に捜索願を出しておいたところ、2年くらい前に長野県内の警察署から「今、警察署に免許の書き換えに○○さん(弟)が来ている。こちらで捕まえておくことはできないが、すぐ来れば○○さん(弟)に会えます。」という連絡が来ました。
すぐに行くことができなかったので、結局それっきりでしたが、少なくとも弟がどこかで生きているということが分かりました。そのような状況の今、母の余命がそう長くなさそうです。父は既に他界しています。
相続人は私のほか、この家出した弟、妹2人の4人です。
ちなみに家でした弟は、私が知る限り結婚もしていませんし、子どももいないはずです。
このように、行方不明の弟がいる場合、遺産分けはどのなるのでしょうか。
不在者財産管理人を選任してもらわなければ、遺産分割できない
遺産分けの話し合い(遺産分割協議)は、相続人となる人全員が参加して行わなければ「無効」となります。
ですから、相続人の中に行方不明(家出も含みます)の人がいる場合、行方が分からないからと言って勝手に遺産分割協議のメンバーから除外することはできません。
そうすると、行方不明の人が見つからない限り遺産分割協議が行えませんので、 不動産の所有権移転や、預貯金口座の解約が出来ないことになってしまいます。
それでは困ってしまいますので、このような場合でも、遺産分割協議を行う方法があります。
それは、家庭裁判所に「不在者財産管理人の選任」を請求するという方法です。
不在者財産管理人とは?
「不在者財産管理人」というのは、 行方不明者の代わりに財産を管理する人のことで、行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加したりするのも仕事のひとつです。
つまり、行方不明の弟様の代わりになる「不在者財産管理人」を家庭裁判所に選任してもらえば遺産分割協議を行えますから、様々な相続の手続きを進めることがでるというわけです。
「不在者財産管理人」は、相続人の中に1年以上行方不明の人がいる場合に選任してもらえます。
ご質問の状況であれば選任してもらうことができます。
一般的には、利害関係のない親族(相続人以外の親族)を候補者として家庭裁判所に請求すると、その人が選任されることが多いようです。
もし、適当な候補者がいない場合には、家庭裁判所が弁護士などの専門家を選任します。
「不在者財産管理人の選任」を家庭裁判所に請求する方法は、こちらをご参照ください。
⇒「不在者財産管理人の選任について」(裁判所ホームページより)
不在者財産管理人の役割
この手続きによって家庭裁判所に選ばれた不在者財産管理人は、家庭裁判所の許可を得て、行方不明になっている者に代わって遺産分割協議に参加することができ、遺
分割協議書に署名押印することができます。
ただし、注意をしなければいけないことがあります。
行方不明であるからと言って、行方不明の人に不利になるような遺産分割協議はできません。
家庭裁判所は、 不在者財産管理人が行方不明の人にとって不利な内容になるような遺産分割協議をしないように、遺産分割協議の内容をチェックします。
もし、行方不明の人にとって不利な遺産分割協議が行われた場合、家庭裁判所は不在者財産管理人に遺産分割協議の権限を与えません。
つまり遺産分割協議は成立しません。
行方不明だからといって「相続分をなくしてしまう」といったことはできないということです。
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